またまた行基ですかと思ってしまうのだけれど、須玉町上津金に行基が養老元年(717年)に創建したという津金山 海岸寺がある。

境内は観光目的の人には開かれていないのだが、歩きながら静かに人生について考えたい人はいつでも歓迎される。僕は境内にある百観音の石仏に興味があって訪れた。百観音の石仏は、西国三十三所・坂東三十三箇所・秩父三十四箇所の各観音霊場の百観音を石工 守屋貞治が制作した。守屋貞治は江戸時代中期の人で、高遠出身の石工の中でも特に優れた腕を持ち”稀代の名工”と謳われた人だ。

僕が海岸寺に観光目的で訪れたのか、人生について考える為に訪れたのか判定は難しい。
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鐘楼門はこんな感じだ。境内にたくさんの石仏が並んでいる。この古刹の話は別の機会にゆっくりと書くつもりだ。
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地元の方は別のルートを知っているのかも知れないが、国道141号線からこの海岸寺に辿り着くのに、僕は大きく南に迂回しなければならなかった。

上津金、下津金は長閑な良い場所なのだが、国道141号線からは一度須玉川の険しい谷を通らなければならない。下津金に入ると急に視界が開け明るくなる。
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下津金には古い学校の校舎が保存されていて、”おいしい学校”になっている。懐かしい学校給食を食べさせて貰える。6年程前、まだ母親が元気で歩けた頃、連れて来たことがある。

この旧津金学校校舎の脇を抜けて、北上すると海岸寺に行き着く。

途中で珈琲店を見付けたので、帰路に立ち寄ることにした。
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何だか古くて新しい店舗だ。道の至るとことに「百番珈琲」の看板が立ててあり、かなり力が入っている。

今年3月9日に開店したそうだ。今までキッチンカーで営業していたそうだが、創業大正9年のよろず屋である「小森商店」をリノベーションして、里山の喫茶店「百番珈琲」をオープンしたらしい。若いご夫婦(多分)で営業されている。
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外の風景が素敵だったので、外で珈琲を飲もうと思ったが、店内もとても落ち着く雰囲気だった。
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自家焙煎珈琲はとても美味い。深煎りだ。
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暖かい日だったので、薪ストーブは焚かれず、花瓶がストーブの上に載せてあった。ダンパーのない、今風の薪ストーブだ。火力調整は出来るが、基本的には薪をバンバン燃やすタイプだ。メーカー名を訊いたらシュナイダーと答えてくれたが、僕の知らないメーカーだ。

素敵な一時を過ごさせて貰った。

追記
訊ねなかったのだけれど、「百番珈琲」という店名は、海岸寺の百観音から名付けたのかも知れない。